2005-05-25
Update Florida - 海の向こうで戦争が始まる
Dominicは、Google用語の「Google Dance」「Deepbot」「ディープクロール」「Freshbot」「フレッシュクロール」「PageRank」などを、考古学の対象に追いやった。
要は、Googleの更新に関係した事象が、ほとんど闇の中に閉じ込められたのである。
何のためか?
スパム=SEOを締め出すためである。
しかし、Googleという神が与える罰は、これでは終わらなかった…
Update Florida
検索エンジンを当てにするのは、商品販売やアフィリエイトなどの商用サイトの運営者である。
彼らを心底震え上がらせ、これ以降断続的に襲い掛かるGoogleの順位変動に対して、後々までも「Floridaのように」と語り続けられるようになる、そういう大事件が勃発した。
通常のGoogle更新では、何がしかのSEOをやったサイトは順位が上がって当然、ところがFloridaに限っては下がったのである。しかも軒並みに…
これほど広範囲の順位変動は未だかつてなかった。
しかもWebマスターや商用サイトオーナーなど、検索されたいために毎日、自サイトのキーワードを検索することが習慣の人たちのほとんどが、この前代未聞の天変地異に驚愕したのである。
Google経由の売上が消滅!
それは突然だった。2003年11月末のことだ。
しかも、英語圏でのみ起こった。日本では対岸の火事、海の向こうの騒動に過ぎなかった(2ヵ月後にはわが身のこととも知らずに…)。
商用キーワードが検索された時、商用サイトのページがゴッソリ消えたのである。
12月に入っても順位変動は続いて、クリスマス商戦が盛り上がらなかったと愚痴がこぼされる。あるeコマースサイトが訴訟の動きをとったことがニュースにもなった。
このFlorida以降、商用サイトとGoogleとの戦争が始まることになる。
もっとも、いつも勝者はGoogleになるわけだが…
Floridaのプロファイリング
最初は、Googleが「スパムフィルタ」を導入したと噂された。
- あるサイトのトップページタイトルと、全く同一のアンカーテキストによって、別ドメインから大量にリンクを貼られた時に、それがおびただしい場合、ペナルティが発動する。
つまり、(a)トップページタイトル、(b)アンカーテキスト、(c)別ドメイン、の組み合わせで、(c)にある(b)が、(a)とほぼ完全一致し、それが(c)から大量に発せられGoogleが設定したボーダーライン(閾値)を越えた時、スパムフィルタのトリガーが引かれるというものである。
しかし、もっと現象を抽出していくと、次々と恐ろしい事例が浮かび上がってくる。
- 特定のキーワード、しかもAdWordsで入札されるような商用キーワードに限って起こる。
- かつ、順位下落のサイトも、中小の商用サイトのみ。
整理していくと、Floridaのプロファイリングは、下記のようになった。
- 特定のキーワードに限る現象=商用キーワード
- 特定のサイトのみ順位下落=商用サイト
- 特定のSEOパターンのみ問題化=大量のアンカーテキスト
そして、鋭意のSEOスペシャリストは、PageRankの脆弱性を補完する新しいアルゴリズムの採用を示唆しはじめていった。
- アンカーテキストの記述と、リンク先のサイトのトピック(キーワード)の関連性
- リンク元のサイトと、リンク先のサイトの、トピック(キーワード)の関連性
その最高峰が、「Hilltopアルゴリズム」であった。
Hilltopアルゴリズム
先に、Hilltopアルゴリズムを組み込んだFloridaのチャートページを紹介しておこう。
簡単には、トピック(キーワード)ごとに、専門性の高いエキスパートページを手作業で選出しておき、このエキスパートページからのリンクのあるなしによって順位が上下する、そういうことらしい。
これは、TrustRankなどの話とも絡んできて重要なことなのだが、知識として教養を高めるだけでなく、実践的に考えるならば、HilltopないしTrustRankが導入され完全に機能した暁には、スパムどころかSEOそのものが、ほぼ不可能になってしまうことだけは肝に銘じておく必要がある。
(Sandbox Effectと同様に…)
さらには、SEOのスペシャリストは、最近のTrustRankの話題にもさほど驚かないのである。
GoogleGuyはかく語りき
GoogleGuyとは、WebmasterWorldに出没しているGoogleの幹部のようで、創業者のSergey Brin(サーゲイ ブリン)またはLarry Page(ラリー ペイジ)なのではないかと思われている。
そのGoogleGuyの発言をSEOルートディレクトリ by ジェフ・ルートさんの、Google Update Brandyから引用させていただく。
「元々Googleはどちらかというと情報サイト(info)を検索するためのエンジンだったけど、今は商用サイトを探す人もいるし、情報サイトを探す人もいるよね。ここの掲示板の人に尋ねれば、もっと商用サイトを出して欲しいと言うだろうし、一般の人に尋ねれば、多分商用サイトを少なめに、という答えが帰ってくると思う。個人的にはユーザーがハッピーであれば僕もハッピーだ。そのためにこれからもGoogleはユーザーをハッピーにするためのバランスを模索していくし、より良い検索結果を表示するための意見は、一般ユーザーからもサイトオーナーからもウェルカムです。」
この発言から汲み取るべきは、情報サイトが商用サイトよりも価値も順位も上になる、ということにほかならない。
Floridaのメルクマール
Floridaが何であったのか、真相は未だに闇の中である。しかし、Floridaを解明するにあたって、つまりFloridaの順位下落ペナルティから回避するための、いくつかのキーワードが浮かび上がった。
- 商用キーワード
- 商用サイト(その位置付け)
- アンカーテキストなどの過度のSEO
- トピック(キーワード)とリンクにおける関連性
- エキスパートないしシードの役割を持つページの存在
- フィルタ
Florida以降、SEOのスペシャリストは、Googleの順位変動の際には、全ページ対象のアルゴリズムの変更と、特定のページ対象のフィルタの導入を区別し、フィルタは、特定のキーワード、特定のサイト、特定のSEOなどで発動すると考えるようになった。
と同時に、目の前の現象を徹底解明するためには、複雑怪奇な仕掛けを想定し、それを紐解くことが要求されるようになったのである。
商用キーワードと商用サイトとSEO
状況証拠から、まず特定のキーワードによってフィルタが発動することは間違いない。無風状態のキーワードも存在するからだ。
ただし、一般的に趣味道楽のサイトは、そのままWeb作成されるのに対して、商用サイトは、検索して欲しいキーワードの露出が目立つ。よって、結果として商用サイトの下落が取り沙汰されるようになったと想定される。
つまり、タイトルや本文、メニュー、商品画像のalt属性などで、商用サイトでは、キーワードが書き込み過多になりやすいわけだ。
そもそも、SEO自体が商用サイトでしか重要視されていない。
よって、商用サイトがターゲットになったかどうかはともかく、フィルタ発動は、特定キーワードとSEOの組み合わせという仮説が導かれることになる。
フィルタとOOP(Over-Optimization Penalty)
あるパターンにはまるか、あるいは度を過ぎるか、とにかくSEOが行き過ぎた場合に、フィルタによるペナルティが科せられる。
これが、過剰SEOである。
そして過剰SEOに適用されるフィルタによる順位下落が、過剰SEOペナルティとなる。
もっとも危ないケースは、リンク関係、そしてアンカータグ(a)の中である。
基本的には、商用サイトが、にわかSEOでやりそうなことばかりである。
この時から、隠しテキストや隠しリンクなどの「検索エンジンスパム」などとは次元が違う、SEOの考え方やり方に猛省が促されるようになる。
Update Austin~Florida日本上陸!
Googleはじまって以来の、大きな大きな禍が日本にやって来た。
2004年1月末、Floridaから2ヵ月後のことだった。
現象はFloridaと全く同じようなもの、つまり商用キーワード検索で、商用サイトが恐ろしいほど順位下落したのである。
Update Austinとネームをうたれたものの、英語圏ではFloridaの症状が継続していたので、事実上、日本語キーワードでのみの順位変動になった。
風説の流布
もっとも多数を占めたのは、IPO(株式上場)を控えたGoogleが、唯一の収入源であるAdWordsの広告料を稼いで経営責任を果たすために、意図的に商用キーワードや商用サイトを狙い撃ちしたとの説である。
時期的には、gooが独自の日本語解析を手土産にGoogleと提携し、AdSenseが日本でも開始した直後でもあった。
ともあれ、特定のキーワードで特定のサイトのみが順位下落する類のフィルタ導入が想定されたため、慌ててアメリカのFlorida情報を漁ったり、我流でサイトを修正したり、Googleを呪ったり、反応も様々であった。
存亡の分水嶺
当時のSEM-SEO塾!でも、1サイトがペナルティを受けたのだが、複数のパターンの過剰SEOを意図的にやっていたのでフィルタ回避策も検証することができた。
また他の管理サイトは、当時スローガンとしていた「ストリクトやアクセシビリティによるWeb標準」を遵守していたので、順位下落を免れている。
信じがたいことだろうが、テーブルやフレームを止め、見出しと段落や強調やリストなどでコンテンツをマークアップし、レイアウトやデザインはCSSに任せること、あるいはアクセシビリティに配慮すること、これがGoogleの順位変動に巻き込まれないことの一つなのである。
(ブログの検索過多も、XHTMLとCSSや見出しタグを使ったできちゃった構造化に負うところが大きい)
実際、SERPsも日々変遷し、検証も的を射ることが難しく、不戦敗のあきらめムードが漂う中、時がすべてを解決してくれるという楽観論さえ台頭しはじめた。
この時によぎった疑念は、歴史と伝統がある老舗サイトは、順位も安定し、変動にも左右されないのではという憶測であった。もし真剣に検証できていたなら、Floridaと並んで忌み嫌われる「Sandbox Effect」への理解も早かったであろう。
(もっとも対応は不可能だったのだが…)
Everflux黙示録2004-02:Google Dance黙示録の3日の記事に、「老舗サイト有利説」を打ち出している。
Google創設者かく語りき
Google, Yahoo duel for documents | CNET News.com
意訳して引用すると、「ここ数週間で、検索結果に対し5つの品質を向上させた。そのうち2つはスパムへのフィルタ、もしくは偽造リスティングを意味している」とある。
Florida(およびAustin)とは何であったのか?
- Googleの順位変動は、アルゴリズム変更とフィルタ導入がある
- フィルタは、特定のキーワード、特定のサイト、特定のSEOをターゲットにする
- 特定のキーワードとは、商用キーワードであり、AdWordsなどから取得している可能性がある
- 商用キーワードやAdWords云々はともかく、Floridaで日本語キーワードが無傷だったことは、特定のキーワードを狙い撃ちにする絶対の証左である
- 特定のサイトとは、
- 単純に販売サイトやアフィリエイトサイトなどの商用サイトかもしれない
- Hilltopのエキスパートリンクを持たないところ、あるいはTrustRankのトラストリンクを持たないところの可能性がある
- 何らかのタイムスタンプを使ったデータベースを別に持ち、サイトを時間軸でも振り分けることができる
もちろん、後日談として、今にして思えばのことも多い。
一般に流布しているSEOの常識では、
- ページ内要因:該当ページへのキーワード書き込み
- ページ外要因:該当ページへ向けたリンク
と解説してあるが、上記2つに含まれない「第3要因」が、Googleでは密かに組み込まれたと想定される。
つまり、FloridaおよびAustinで披露されたもののすべてが、それ以降のGoogleの順位変動の源泉なのである。
これ以降、Googleではスパム=SEO(過剰SEO)となるわけだから、スパムではなくSEO自体に気を付けることになる。順位が上がることよりも、ペナルティを受けないことの方が、Webマスターにとっては重大事となり、Googleは期待した以上の成果を上げることになる。
時は、Yahoo! Inc.がGoogleからYST(Yahoo! Search Technology)へ切り替え、またYahoo! JAPANも追随して、Googleへの関心が薄くなった状況の中、Sandbox Effectという悪魔が支配する数ヶ月間を迎えることになる。
参照
2005-05-25 12:00 AM | コメント (0) | トラックバック (0) [ 管理人編集 ]
